卓球女子日本代表監督の村上恭和が採ったメダルへの戦略とは?
2017/03/19
リオデジャネイロオリンピックでは、メダル獲得に日本中が湧きたちましたが、その陰には
監督の存在が大きいことも教えてくれました。
卓球女子は、準決勝でドイツに負けて、もしかすると銅メダルも危なかったかもしれないと思いましたが、そんな心配をよそに3位決定戦では思い切りよく戦って銅メダルを獲得しました。
選手達の健闘ととともに、監督であった村上恭和さんの功績も称えたいと思います。
☆静かなる知将 村上恭和が描いた戦略とは?
村上監督の次の言葉は核心を突いている。
「 どの国の代表チームにも勝てるチームを目指すとか、バランスの取れた成長をしようとか、そういうのは、実は、戦略の欠如なんです。」
売上高を1兆円にしようとか、利益率10%を目標にしようとか、いくら社長が漠然とお題目を唱えても誰も動かないのと同じだ。
それ以上は執行役員に任せてしまい、社長の意図が全く見えないのでは、社員の努力が空回りするだけなのだ。
その極端な事件が東芝問題だろう。
最近では東京都の醜態が明らかにされているが、組織の長がまったく戦略を持っていなかった結果だと思う。
大組織である都庁は、組織としてはバラバラになっていまい統率がとれなくなっていた。
村上監督は北京オリンピックの後監督に就任し、ロンドンオリンピックへ向けての戦略を明確にしました。
「第二シードになって、中国とは別の組で最後まで戦わない。」
ということでした。
そのためには、シンガポールや韓国にいかにして勝つかを定めて対策を練っていきます。
☆戦略が明確になれば、やるべきことが見えてくる
「 韓国は、カットのチームです。 韓国の粘り強いカット打ちに、日本はずっとやられてきました。 日本の選手は、カット打ちに弱い。それで、カット打ちの選手を集めて練習相手にし、徹底的に練習しました。 」
戦略が出来れば、やるべきことが明確になってきます。
それはすべての行動に反映されていきます。
一般企業でも同じです。
組織改革や人事にも端的に表れてきます。
社員はそれを見て、社長が何をやろうとしているかがわかります。
会議ばかりしなくても、みんなが自分で自分の役割を認識することが出来、動けるようになります。
村上監督は、こう言っています。
「 私は基本方針を出すだけです。
卓球では、選手自身が自分の頭で考え、自分で行動しなければいけない。」
☆監督としての役割を理解していた村上恭和
「監督の役割は、高い目標を掲げて、それを達成する戦略を明示することに尽きると思っています。」
大きなフレームワークが出来れば、あとはそれを細分化して実行できるようにしていく。
つまり戦術化していくということだろう。
それによって役割分担を明確にさせていくことで、各自が自分の意志で行動できるようになる。
本当のチームワークも自然と出来上がる。
「8年後、12年後の卓球がどう進化するのか。先手を打たないと中国には追い付けない。」
「福原、石川をしのぐ選手はきっと出てくる。」
ロンドンオリンピック直後に、村上監督が述べた言葉です。
それから4年後のリオデジャネイロオリンピックでは、15歳の伊藤美誠が代表として健闘しました。
今回のメダル獲得の貢献者として、補欠だった平野美宇を上げています。
「平野は平野で、自分の役割をしっかり果たしてくれましたね。彼女も大貢献者ですよ。」
平野は伊藤と同学年でライバル同志です。
次世代の若手にも目配りを怠らず、将来を見据えた監督としての役割も理解していますね。
監督についても引き際をわきまえている人であり、清々しさを感じます。