アルビン・トフラーが第三の波で描いた情報社会到来で見えた問題
2016/08/05
☆未来の人類社会の姿を正確に捉えていたアルビン・トフラー
未来予測学者として有名なアルビン・トフラーが、死去したと報じられました。87歳でした。
『未来の衝撃』や『第三の波』では、今日の情報化社会を予測し、我々に警告を発し続けました。その後も『パワーシフト』、『富の未来』を発表し、今日の資本主義経済の問題を正確に分析し、その知性は現代の巨星と言っても過言ではないでしょう。
我々に感動を与えてくれたことに感謝します。
アルビン・トフラーの凄さは、現場に入って事実を良く観察し、人々の生活の動きを実際に肌で感じ取った上で、世の中が動いていく方向を描き、それが着々と現実となって我々に迫ってきたことです。
1980年代の日本にとって高度成長期に、アルビン・トフラー氏が『第三の波』を書いた近未来の姿は、インターネットの普及によって現実のものとなって我々の社会を大きく変えつつあります。
第一の波である農業生産社会から、第二の波で工業生産の時代になり、世の中のあり方が変化し、人々の生活が一変しましたが、そういう時代に、次の第三の波である情報化社会が世の中を根底から変えてしまうことを予測しました。
情報が富の価値を生んでいく、という姿は今日のあらゆる分野で見られます。
インターネットの普及が大きく貢献しました。
☆第二の波で成功した日本は第三の波に乗り遅れた
日本は第二次世界大戦で敗北し、ゼロから再スタートしましたが、1980年代は経済で高度成長を果たし、ジャパンアズナンバーワンと言われるほどになり世界から注目と反発をされました。
中国はみんな人民服を着て、とても貧しい国でした。
しかし、その大絶頂期に徐々に世の中が根底から変化していることに気がついた人はほとんどいなかったでしょう。
パソコン通信とやらを使って現在のSNSの元が出現したのはこの頃でした。
いわゆる草の根民主主義の原型かも知れません。
この時に、これからは情報を誰よりも早く握った者が勝者になっていく予感がしたものです。
なんだか良く分からないけれども、これから大きく社会の構造変化が起きるのではないかと微かに感じ始めた時期でした。
そのことを緻密に分析し整理して世の中に発表したのがアルビン・トフラーです。
第二の波に成功した日本は、バブル崩壊後この20数年間、第三の波に乗り遅れた形です。
日本の成功に危機感を持った超大国アメリカは、その後マイクロソフトやアップル、グーグルなどでIT産業を主導し、新しい時代の先頭を走ることになります。
少子高齢化の先頭を走っている日本も、ようやくこの流れを意識した動きが活発になってきたように思います。
☆資本主義貨幣経済が行き詰まり、新しい経済活動へ移行しつつある
現在は工業化社会の大量生産時代から個人の好みに合わせた少量多品種生産時代へ移りつつあります。インターネットを駆使して、消費者いわゆる個人が自分の好みに合わせて作ることも可能になってきています。
3Dプリンターもどんどん安価になっています。
DIYが色々な分野で進みつつあります。
また、インターネット上ではオークションも盛んに行われ、当たり前になっています。
個人が情報を得ることで、今までの大企業にも対抗できる姿が見えつつあります。
ネットビジネスで、個人が稼ぐことも簡単に出来る世の中になってきました。
人口知能の発達も、社会を変革していくことでしょう。
さらに面白いのは、ビットコインなどの仮想通貨が現れたことです。
これは何を意味しているのでしょうか?
これらの動きは資本主義経済そのもを変質させようとしています。
アルビン・トフラーがもう少し、あと数年も生きていたら、自分の予測した姿をはっきり見ることができたでしょう。
とても残念であったと思います。